*SAKULIFE*

音楽と桜とミルクティーが好きな社会人が、日々の想い出やお気に入りをしまっておく宝箱。

染まる空。

明日は試験。
19時半くらいまで近くのショッピングモールのフードコートで勉強してから帰宅。

駅に向かうには、2階からエスカレーターで降りる作りになっているのだけれど、エスカレーターから見下ろす街の景色が、妙に夕焼け色に染まっているように見えた。

こんな時間にまだ空が夕焼け色という時点で気分が躍る。
梅雨明けの知らせはまだだが天候はすっかり夏である。
空もほんのりピンクに染まってる。

何気なく後ろを振り返って驚いた。

夕暮れの主役、西の空はどうやら反対側のこちららしかった。

反対側の空は、一面が紫のような、ピンクのような、オレンジのような、でもそのどれでもない、複雑な色に染まっていた。
交わる色は雲と混じり合い、複雑なグラデーションを見せている。
どんな絵の具を混ぜたら、この色が出せるのだろう。
人の力では絶対に作り出せない色のように感じた。
自然の前に人の無力さを感じてしまう。
見ているだけで泣けるくらい美しい空だった。

西の空の複雑なグラデーションが、反対側の東の空の街を夕暮れ色に染めてしまうくらいのパワーを持っているのだと思うと、また、自然の力強さを感じた。

どうしてもこの空を写真に収めたくて、改札を抜けてホームに降りたら、わたしはひたすらホームの端を目指した。

そして何枚か撮った。
でも、肉眼で見る色は写真には写らない。

やはり、人の力では絶対に作り出せない、残すことができない色彩が、自然にはあるのだと思った。

こんな色の空を、前にも見たことがある。

あの時の空はもっと紫が深くて、オレンジが明るくて、強烈な空だった。
同時中学生だったか高校生だったかのわたしは、今と同じように、この空の色を写真に収めようと、乗り換え駅のホームを端まで歩いていった。

するとホームの端には先客がいた。

なんとそれは、中高の同級生男子2人だった。

どんな話をしたかはあんまり覚えてないけど、
「これは撮るよな!」
とかなんとか話した気がする。

同じ空を見て、同じようにその空を写真に収めたくて、というかきっと、写真以前にこの空をよりきちんと見たくて、ホームの端まで歩くって、ふつうの人はなかなかやらないと思う。

でも、そうやってホームの端まで歩いてしまう感性を持った人が、わたしの母校に集まっているんだなと思ったし、わたしは母校のそういうところが好きなんだろうな、と思った。

ひさびさにそのことを思い出した。
今、何してるか全く分からないけれど、2人はこの日のことを覚えてくれているのだろうか。

覚えてくれているといいなあと思う、夏の夜であった。


東の空
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西の空
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ほんものは、もっときれいだった。