2022.1.10(Mon)
アーティゾン美術館
ジャム・セッション森村泰昌 M式「海の幸」
コレクション選「印象派ー画家たちの友情物語」
行ってきました。
*********************************************
以前、バスの中から見かけたことがあり、こんなところに美術館があるのか、行ってみたいなぁと思っていたアーティゾン美術館。
なかなか行く機会がなかったのですが、ここにモネがヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレと黄昏を描いた作品があると知り、行ってきました!
フォロワーさんありがとうございます。
日本にサン・ジョルジョ・マッジョーレと黄昏を描いた作品があるだなんて知りませんでした。
コレクションなので、展示されているときにはいつでも会いに行けると思うとうれしいです。
*********************************************
サン・ジョルジョ・マッジョーレとモネとわたし
部屋とワイシャツと私みたいな見出しにしてしまいましたが…笑
サン・ジョルジョ・マッジョーレとは、モネがこの作品で描いている教会の名前。
この景色を描いた作品は複数あり、わたしは以前、別の『サン・ジョルジョ・マッジョーレ、黄昏』(1908)という作品を静岡で観たことがあります。
この時の出会いがあまりに運命的で、わたしにとって勝手ながら大切な作品です。
さらに、後になって知ったのですが、わたし、モネと同じ場所からこの教会と夕陽を見たことがあるんです。
実際にわたしが撮影した写真です。
真ん中に見えるのがサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会。
ここには船で行くのですが、あまりに夕陽が美しくて、30分くらいずっと写真を撮り続けていた記憶があります。笑
モネが見た景色、モネが見た黄昏を、わたし自身も見ていたことがうれしくて、思い入れがさらに深まりました。
………という作品の、連作、なのか分かりませんが、同じ場所から描かれた作品が、アーティゾン美術館にあると。
静岡での出会いは5年前ですが、全く知りませんでした。
アーティゾン美術館のコレクションは『ヴェネツィア、黄昏』というタイトルです。
『ヴェネツィア、黄昏』(1908)
初めて見る作品というのに、再会を果たしたような気持ちになりました。
先の『サン・ジョルジョ・マッジョーレ、黄昏』は、空が虹色に描かれており、この作品と比べて海の際との赤が濃い気がします。
このアーティゾンの黄昏から、もう少し時間が経過した後の空の色が『サン・ジョルジョ・マッジョーレ、黄昏』なのではないでしょうか。
この時間帯の空は毎秒毎秒その色を変え、瞬間瞬間その彩りを変えるので、モネもその瞬間瞬間を描き留めたくなったのではないかと想像します。
ずっと見つめていられる美しさでした。
アーティゾン美術館
アーティゾン美術館は、コレクション展と現代アーティストとの共演「ジャム・セッション」をメインに構成されていて、1枚のチケットですべての展示が見られる構成になっています。
企画展のチケットでコレクション展が見られるのはめずらしくないですが、アーティゾン美術館は順路をたどることで企画展もコレクション展も見られるようになっているんです。
わたしはモネがお目当てだったので、印象派展がメインでしたが、ジャム・セッションと特集コーナーも観られました。
ジャム・セッション 森村泰昌 M式「海の幸」
青木繁『海の幸』(1904年)にインスピレーションを受け、森村泰昌さんが制作された『M式「海の幸」』の制作過程を見られる展示となっていました。
青木繁
青木繁さんのコレクション。
『海の幸』(1904年)
海の幸はなんと鮫でした。(!)
ひとりだけ、こちらを見つめる女性が。
『海』(1904年)

『海景(布良の海)』(1904年)
すごくモネっぽい。
と思ったら、説明にもモネの名前が出てきてそうだよね、と思いました。笑
森村泰昌
連作『M式「海の幸」』
そして森村泰昌さんが『海の幸』にインスピレーションを受けた作品が『M式「海の幸」』。
10作品からなる連作です。
制作過程が分かる習作やジオラマもたくさん展示されていました。
たとえば『復活の日 2』
『復活の日 2』
- 習作
- 衣装
- 完成作品
制作方法はよくわからなかったのですが、ジオラマを撮影し、なんらかの形で別で撮影した人物(すべて作家本人!)と合成している気がします。
AKIHIDEさんの作品とシンパシーを感じてしまいました。
連作の中にはモネを想起させる海と空などもあり、これは『海』からインスピレーションを受けたのかな?と思います。
砂浜は立体だけど、海は平面なのに波が浮きだって見える。すごい。
完成作品10作品はぐるりと一周する空間に一同に会しているのですが、人物がすべて作者の森村泰昌さんなので、空間の中心にいると、たくさんの同じお顔に見つめられているような気がしてきて、エネルギーを吸われていく独特の空間でした。
空間の中心は、作品から発せられたエネルギーが集まっています。
全く知らない状態で行き、制作過程から始まるので、最初はなかなか世界に入り込めませんでしたが、完成作品を見て、溢れるエネルギーに圧倒されました。
イントロダクションの文章にもあったように、まるで小説を読んでいて、ラストで一気に伏線が回収されたかのような気持ちになり、思わずぐるぐると元来た道を戻り、制作過程を見直してしまいました。
こういった出合いがあるのも美術館のいいところだなと思いました。
コレクション選「印象派ー画家たちの友情物語」
そしてコレクション。印象派の作品をたくさん拝見できました。
これ全部コレクションって、ブリヂストンの財力すごすぎます…。
『雨のベリール』(1886年)
モネの海。
先ほどの青木繁の作品に影響を与えているのを感じます。
モネの描く色を見ていると、世界のありとあらゆるものはすべて、ひとつの同じ色で塗り尽くせるものはひとつとしてなく、ありとあらゆる色が重なり合って存在しているのだと言うことに気づかされます。
日本にはモネの描いた海がたくさんコレクションされているのですね。
東京に来て、モネの描く海を見るの3回目です。笑
『コンカルノー港』(1925年)
お気に入りはポール・シニャック。
16歳の時にモネの個展を見て感銘を受け画家を志し、その後モネに手紙を描き、モネに会えたそうです。すごい。
シニャックの美しい彩り、とても好きなのですが、きっとモネの影響があるんですね。
『ヴェネツィア、黄昏』の隣に展示されていて、とても美しかったです。
とっても緻密な点描。
どんな想いで、どんな気迫で、一点一点点を打っていたのか、想いを馳せてしまいます。
『日光浴(浴後)』(1901年)
メアリー・カサット。美しい。
『セーヴルのテラスにて』(1880年)
マリー・ブラックモン。
夫婦で印象派展に参加していたそう。
メインビジュアルの作品ですが、てっきりルノワールだと思ってました…。
『馬の頭部のある生物』(1886年)
ゴーギャン!
(最近はゴーガンと表記しないといけない感じなのでしょうか?)
一目見て
ラ・ジャポネーズ!
と思いました。
ゴーギャンにもこんな和の影響を受けた作品があったんですね。
この作品好きだなぁ。
コレクション展
そしてコレクション展。
現代アーティストが多いのかと思いきや、メインビジュアルピカソだし、入ってすぐにルソーあるし。
これ全部コレクションって、ブリヂストンの財力すごすぎます…。
『猫のいる静物』(1939-40年)
レオナールフジタ!
油彩だけど水彩かと見間違うような繊細で淡いタッチが美しい。
猫かわいい。
鳥細やか。
特集展はワインでした。🍷
アーティゾン美術館は写真撮影OKでした。
NGの作品以外は、と注意書きがありましたが、今回NG作品は見あたらなかったです。
撮影OKだとつい撮ってしまい、目の前の作品ときちんと向き合えなくなる気がしますが、あとから見返せるのはうれしくてつい撮ってしまいます。
素敵でした。
ブリヂストンの財力、すごすぎます…。
またゆっくり来たくなる美術館でした。
日本のコレクションって実はすごいんだなぁ。