*SAKULIFE*

音楽と桜とミルクティーが好きな社会人が、日々の想い出やお気に入りをしまっておく宝箱。

『サヨナラまでの30分』

サヨナラまでの30分

『サヨナラまでの30分』

 

Amazon Primeにて視聴しました。

新田真剣佑北村匠海W主演の映画。

音楽の道を志すも、事故死してしまったバンドマン、アキ。
彼のカセットテーププレイヤーを就職活動苦戦中の大学生、颯太が拾ったことから物語ははじまります。

カセットテープを再生している30分間だけ、アキは颯太と入れ替わることができたのです。
その時間を利用して、解散してしまったバンドの再結成をメンバーに持ちかけるアキですが、颯太の中身が自分であることは当然周りには信じてもらえません。

しかし、少しずつ周りの心を動かしていき…という物語です。

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カセットテープへのノスタルジーを軸に作られた物語だな、というのがいちばんの感想です。

現代の設定でカセットテープをモチーフにした作品には限界があるのではないかと感じつつも、その限界を越えようとする熱い想いを感じました。

カセットテープの魅力。
音楽を手のひらに乗せられるあたたかみ。

カセットテープの魅力が詰まった作品です。

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序盤は真剣佑演じるアキの陽キャっぷりがすごくて面食らいました。
真剣佑、素であんな感じなんだろうな~と思ってしまいました。笑

劇中、
「思い通りにならなかったことってないの?」
という颯太の問いに、アキが
「ない!」
と即答するみたいなシーンがあるんですが、「ない!」とからっと言い切れる真剣佑の陽っぷりに、面食らいました。(2回目)
まぶしい。

対照的に、北村匠海くんはひとりの世界に閉じこもる大学生。
北村匠海くん、こういう愁いを帯びた役を演じるのほんと上手。

仲間と音楽を楽しみたい、世界を広げたいアキと、他人から否定されるのが怖いから音楽をひとりで楽しみたい颯太。

アキが颯太に仲間との音楽の楽しみを教え、颯太の世界を開いていく物語です。
わたしは颯太側の人間なので、“ひとり=よくない、仲間=よい”という構図を観ていると、自分を否定されているかのようで胸が痛みます。笑
仲間がいるからこそ広がる世界、たくさんあるよね。
それは分かってるんだけどね。笑

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今夜、ロマンス劇場で』もそうですが、こういった特殊設定のストーリーは、いつか終わりが来るのがセオリー。
この作品も例外ではありません。

ラストシーンもここなんだろうな、というのも予想がつきます。

作品の時間的な、現実的な部分にツッコミを入れるのも野暮だなぁとは思うのですが、ラストはどうしてもツッコミどころがたくさん。笑

まず、松重豊がねじこんでくれたフェス出演なんだから、そんなぶっつけ本番でやらんでくれ………!

とんかつDJアゲ太郎』では、そこで失敗したから伊勢谷友介がえらいことになるんやぞ………!

北村匠海がギリギリで到着した、くらいならなんとかなるけど、そうじゃない、そのぶっつけ本番は危なすぎる!!

…………先日上司が言ってたんですよね。
「プレゼンがうまい人はいない。準備しなかったら誰だって下手」だと。

プレゼンもライブも、そこは変わらないと思うんです。

もちろん人によってポテンシャルの差はありますが、いくらポテンシャルが高くとも、晴れ舞台をぶっつけ本番でやるのはリスクが高すぎます。

1回通すのと通さないのとじゃ全然違う。ポテンシャルが高い、実力がある人ほど、準備もしっかりするものです。

せっかくの晴れ舞台、フェスの舞台をぶっつけ本番で臨むのはよくないと思いました。(なにこの学級委員みたいな言い方って感じですが笑)

ラストにかけての颯太の気持ちもよくわからん。アキが消えて欲しくないって言うけど、消えて欲しくないけど人に多大なる迷惑と恥をかかせるのはええんかいて感じ…。
最終面接と被るってもう少し前から分かっていただろうに…そして最終面接でその台詞言うくらいなら最終面接行く意味あった…?みたいな。

いかん。ツッコミ出すと止まらん。笑

音楽はどの曲もとても素敵でした。覚えきれないくらいたくさん挿入歌が出てきて、音楽を題材にした作品への熱を感じました。

匠海くんが歌うまいのは知っていたけど、真剣佑もめっちゃ上手だったなぁ。
主題歌もふたりで歌ってるんですね。とてもよかったです。

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細かいけど颯太が星好きなことは自室からすごく伝わってきて、iPhoneのホーム画面が夜空なだけで颯太のiPhoneだな、って分かる演出、よかったなぁ。

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ヒロインのカナ。
ずっと清原果耶ちゃんだと思って観てたんだけど、久保田紗友さんだったらしい。
最近の女優さん似ている方が多い。

いつも野菜を刻んでポタージュを作っているのも、走るカナに「朝は苦手だったんじゃないの?」だかなんだか言ってる見えないアキの台詞も、実は伏線だったんだな。

「忘れたい」って言葉は実は「忘れたくない」気持ちの裏返し。

わたしも最近ずっと「忘れたい」と思っていることがあったから、カナの台詞はとても響きました。
「忘れたい」、だからこそ、それを思い出させる場所に「行かない」選択をする、予定、なのです。ちょうど今週。

わたしが「忘れたい」ものと作品では、過ごした時間も関係性も違うけど、この映画を観ても、やっぱりわたしは「忘れたい」な、と思いました。

大切にしながらこれからを生きるより、忘れた方がきっと楽、なのです。

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一見正反対に見えるアキと颯太。
ふたりの共通点をバンドメンバーが語るシーン、とても素敵だったな。
二人の共通点、それは、自分だけの世界をきちんと持ってるところ。

ついていくだけで頼りなく見えていたバンドメンバーだけど、その世界に共鳴したからついて行っていたし、共鳴したからこそ、アキがいなくなって、解散って決断をしたんだろうなぁ。

細やかな感情の伏線の回収が上手でした。というか、みんなの感情の筋がきちんと通っていたのかな。


素敵な音楽映画でした。