蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠
2024.1.7(Sun)
蜷川実花展
Eternity in a Moment
瞬きの中の永遠
at 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー
TOKYO NODE 45F GALLERY A/B/C
蜷川実花展に行ってきた。
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写真家・映画監督の蜷川実花がクリエイティブチームEiM(エイム)として挑むインスタレーション形式の展覧会。
インスタレーションが多い覚悟はあったものの蜷川実花は写真家なのだから当然写真の展示もあるだろう、と思っていたら、写真だけの展示はないに等しかった。
写真はあってもインスタレーションの中の作品の一つとしての位置付け。
▼生花の展示の日々の移り変わりを写真に留める展示
序盤は動画の作品が多く、チケット代が高かった(日時指定2,800円、変更キャンセル不可)のもあって思っていたのと違うなぁと思っていたのだけれど、メインの部屋がすごかった。
Intersecting Future
空間全体が花という花で埋め尽くされている。
移ろう光とそれに伴って形を変える影。
桜、ひまわり、藤、椿、彼岸花、紫陽花……。
自然界では決して同じ瞬間に見ることのない花々が並んで咲いている。
見下ろしても花、見上げても花。
花と彩りの密度が凄まじかった。
近頃没入型のアート展示が流行しているが、これぞ蜷川実花の世界に入り込むことができる唯一の空間だと思った。
美しかった。
チケット代の理由が分かった。
そしてチケット代だけでは足りなかったようでこのお花には協力があったそうだ。
最後にクレジットとして展示されていた。
沢尻エリカの名前があるのがうれしい。
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他の映像の展示は正直あまり心に響くものがなく(透ける大型スクリーンでの展示は前に庭園美術館でも見た)、正直、もっと写真を見たかったな、という気持ちが大きい。
しかし、それは今回に限らず、わたし自身が美術館での映像の展示をいつも楽しめていないことに起因している気がする。
写真や絵画のような静止画なら、自分のペースで観ていけるので、じっくり立ち止まることも、すっと歩みを進めることもできる。
でも映像は、観るスピードを自分で選べないのでどうしても「頑張って観る」姿勢になってしまう。
映像作品には時間表示がほしいタイプだ。
(今回は一つ一つが長く、かつ時間表示はなかった)(そのため、一つ一つがより長く感じた)
展覧会の客層は10~20代の若者が8割くらいを占めていたように思う。
若者はわたしとは違ってYouTube世代だろうから、写真の展示よりも映像の展示の方が親しみやすいのかもしれない。
以前から蜷川実花の作風はうまく時代の流れを取り込んで変化しているなと感じていたが、今回の展覧会はそれをより深く実感するものとなった。
インスタレーション形式なのも、映像作品がメインなのも、きっと時代の流れを汲んでのものなのだろう。
だからこそ、蜷川実花は若年層に支持されている。
若年層に支持されているアーティストは強い。
『さくらん』の公開が2006年らしいので、蜷川実花は初監督作品が公開されてから18年も第一線を走り続けている。
素晴らしいと思う。
中学2年生で監督が蜷川実花だと知らないまま映画館に『さくらん』を観に行き、その後(きっかけを忘れた)蜷川実花の極彩色に魅了され、なんだかんだで監督作品は毎回映画館に足を運び、展覧会にも通っているアラサーからすると、昔の展覧会の方が好きだったな、と思わないこともないのだけれど。
でもやっぱり蜷川実花の作品は美しく彩り豊かでとてもかわいくって、結局グッズショップで散財してしまうのであった。