*SAKULIFE*

音楽と桜とミルクティーが好きな社会人が、日々の想い出やお気に入りをしまっておく宝箱。

『リスペクト』

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『リスペクト』鑑賞してきました。

いただきものの鑑賞券が11月末期限で、観たい映画を探していたんです。
人が死ぬ物語が苦手なので、『007』や『エターナル』は観られず。
『CUBE』なんて絶対観られず。笑
音楽映画ならいいかなと思ってこの作品を選びました。

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前情報全くなしで観に行ったので、
「よくわからないけど『ドリームガールズ』みたいな感じよね~」
と思って観に行ったら、「みたいな感じ」というかジェニファー・ハドソンは『ドリームガールズ』にも出演していたんですね………。知らなかったヨ………。

ドリームガールズ』、さらっと観たことあるんだけど元々知ってるのがビヨンセだけだったからビヨンセメインで観ていたわ。

アレサ・フランクリンのこともよく知らないまま観に行ってしまいました………でも素敵な映画でした。

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“ソウルの女王”アレサ・フランクリンの半生をジェニファー・ハドソン主演で映画化したこの作品。

アレサの半生

アレサの半生は壮絶です。

生まれと黒人差別

父親が牧師の家庭に生まれたアレサは、子どもの頃から歌の才能を認められ、牧師の父親の礼拝や、夜のパーティーで歌を披露する生活を送ります。
礼拝でアレサが歌うと、人々の心がひとつになり、熱気が高まります。
そこはまるでライブ会場のよう。
音楽の力は人をひとつにし、躍動させる力があるんだな、と改めて感じました。
さらに、音楽がプロパガンダに利用されてしまう危うさも感じてしまいます。

映画のCMで、アレサの力強い
“Freedom,Freedom!”
という歌声が印象的ですが、この“Freedom!”のメロディーは序盤の礼拝のシーンで登場します。
ゾクッとしました。
アレサのルーツが教会にある、ということを暗に示しているような伏線で素敵です。
現に、後半でアルコール依存症に苦しむアレサを救ったのは、教会でした。

アレサの父親はキング牧師とも親交が深かったそうで、映画にはキング牧師も登場します。
アレサのことは知らなかったけど、キング牧師のことは知っていたので出てきた瞬間ちょっと泣けてしまいました。
(暗殺されるから…)
映画には書かれていませんが、アレサの父も、銃撃を受けたことが原因で亡くなるそうです。

アレサがコロムビアレコードと契約し、拠点とするのはニューヨーク。
しかしなかなかヒットに恵まれません。

そこで、アレサはレコード会社の移籍し、レコーディングのために地方を訪れます。ニューヨークとは違い、地方では、まだまだ黒人差別が色濃く残っていることが示唆されています。
とはいえ、黒人であるアレサの夫・テッドの、
「自分は黒人である、白人は黒人に差別意識を持っている」
という思い込みが事を荒立てている気もしなくはなかったですが、実際にこういったことがあったんだろうなと思います。
今もBLM運動があるくらいだし、きっと終わっていないよね……。

日本人にはニュアンスを100%受け取るのがなかなか難しい部分かもしれません。

若くしての出産と恋愛

アレサは12歳、15歳で出産。
(しかも15歳の時に出産した子どもの父親は実際によく分からないらしく、映画でも一気に数年後に飛び、そこでは既に子どもが2人いるのでそこが引っかかったまま終わってしまいます)
宗教的な問題もあるのかもしれませんが、驚きです……。

その後テッドとの間に1人、その後の恋人との間にもう1人子どもを出産します。

テッドは今でいうDV夫で、一度は復縁するも結局別れるのですが、テッドと別れると決めたその日の夜くらいのスピード感で次の男を部屋に呼び出していてびっくり。
映画の演出かもしれませんが、スピード感が凄まじいです。

この後の恋人はテッドと違って献身的ないい人なんですが、きちんと観ていたつもりなのに
「誰???」
ってなってしまいました。
きっとその前から出てきてるんだろうけど未だに分からない笑

献身的ないい人と結ばれたら結ばれたで、今度はアレサが不安定になってお酒に溺れてしまう。
難しいですね…。

家族という救い

壮絶なアレサの半生ですが、最大の救いは、アレサの家族が、いつもアレサを支えてくれることです。

家族に頼れない主人公もたくさんいるとは思いますが、アレサの家族は違います。
駆け落ち同然で家を出ても、これからの活動方針で仲違いしても、アレサが荒れても、最後にはきちんと支えてくれます。

彼女には姉と妹がいるのですが、幼少期時代に
「わたしが長女だから一番前のはずなのに」
と、歌がうまいからと贔屓される妹をよく思っていない姉の台詞があります。

それでも、姉妹はアレサのよき相談相手であり、途中からはコーラスとしてライブにも参加するようになります。
アレサも姉妹に対して酷いことをいろいろ言っているのに、その度に許している姉妹の懐の深さはすごいなと思います。

帰れる場所があることは、アレサの大きな強みだと思いました。

音楽

アレサの半生があまりに壮絶で、先にそちらについて書いてしまいましたが、音楽が素晴らしいです。

名曲が生まれる瞬間

ジャムセッションによって名曲が生まれる瞬間が丁寧に描かれていて、『ボヘミアン・ラプソディ』を思い出します。
そしてAKIHIDEさんのライブも。笑

昔はフルオーケストラで、しかもボーカルも同時に?レコーディングしていたんだなぁ、とレコーディング風景も興味深く拝見しました。
今は打ち込みで簡単に作れてしまう時代だもんなあ…。と、現代との違いを感じました。

歌はジェニファー・ハドソンがその場でライブで歌っているんだそうです!すごすぎ!

MSG(マディソンスクエアガーデン)が登場するのも熱くなるポイントです。
360°満員のMSGは圧巻です。

音楽の力と教会

音楽の力にはじまり、音楽の力で終わる。
そんな作品な気がします。

幼い頃から教会で歌い続け、人々を鼓舞してきたアレサ。
数十年後、アルコール依存症に苦しむ彼女を救った場所もまた、教会。

子どもの頃に音楽の救いをアレサに伝えたピアニストが、数十年後に教会で彼女と再会し、彼女を救うきっかけになります。

昔からの人間関係が大人になっても生きていて、そして苦しいときには支えてくれるのって素敵だなと思います。
アレサは人に恵まれているな、と思いました。

ラストシーンのライブは、アレサが子どもの頃から歌っていた教会で行われたようです。
練習のシーンの時には分からなかったけれど、ライブ当日、席が満員になって初めてそのことに気づきました。

教会やゴスペルが身近な環境に生まれて、紆余曲折を経て、帰る場所もまた、教会であり、ゴスペルなんだなぁと感じました。

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音楽の素晴らしさや、音楽を通じて人々がひとつになれる瞬間を感じられた作品でした。

音楽って、いいなぁ。

こういう映画を観ると、2年前までは当たり前だったはずのライブに行きたくなります。

熱気に包まれるライブ。
みんながひとつになれるライブ。

取り戻すまでには、もうしばらくかかりそうですね。