『マチネの終わりに』
Amazon Primeにて視聴しました。
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タイトルからして、惹かれるこの作品。
前々から気になってはいたのですが、ついに拝見することができました。
『マチネの終わりに』というタイトルから、舞台のお話かと思っていたら、福山雅治演じる世界的クラシックギタリストと石田ゆり子演じるジャーナリストのお話。
舞台を観に行く機会はそう多くないので、“マチソワ”という言葉を思い出さないとどちらがマチネでどちらがソワレか分からなくなる。
『マチネの終わりに』って昼公演の終わりということなんだね。
きっとこの日はソワレのない公演日なんだろうなぁ、と思いました。
2回公演の日の“マチネの終わりに”は、あまりに時間が短すぎる。
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物語中で経過する6年という歳月の中で、舞台はパリ、マドリード、東京、長崎、ニューヨークと4都市を巡ります。
序盤は6年前(劇中では2013年)のパリということで、バタクラン劇場をはじめとする同時多発テロ事件や、シャルリー・エブド襲撃事件をベースとしているのかな?という描写があり、心が痛みます。
(実際の事件は2015年の出来事ですが…)
パリやニューヨークの美しい町並みと、台詞のひとつひとつが印象的な映画でした。
序盤の福山雅治演じる薪野の台詞
「人は変えられるのは未来だけだと思い込んでるけど、実際は常に、未来が過去を変えているんだ。
変えられるともいえるし、変わってしまうとも言える。
つまり、過去って言うのはそれぐらい繊細で、感じやすいものなんじゃないですかね」
というのが、この作品に一貫して通ずるテーマ。
6年間の月日の中での出来事も、未来によって変えられる。
そんなメッセージを持っています。
クラシックギタリストの物語ということで、全編を通して使われているクラシックギターの音色がとても美しいです。
劇中では3人のギタリストの演奏が登場しますが、ギタリストによってこうも音色が異なるものかととても驚きました。
わたしは普段、クラシックギターの音色を聴くのはAKIHIDEさんの音色が圧倒的に多いですが、AKIHIDEさんの音色とも異なっていて新鮮でした。
「未来は過去を変えられる」というのは、「終わりよければすべてよし」とも言い換えられるのか……。
美しい景色が印象的な映画でした。
また、海外に行きたくなります。
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ここからは物語の中身にも触れつつ………。
「未来は過去を変えられる」
とはいえ!
とはいえ!
とはいえですよ!!!
と言わずにはおれない………笑
序盤は石田ゆり子演じる洋子とともに、テロで亡くなってしまうフィリップの死に心を痛めていたのに、途中の桜井ユキ演じる早苗の巧妙なすれ違いの細工に腸が煮えくり返りすぎて、それどころではなくなってしまいました……。(以下愚痴です)
すれ違いの細工があまりに抜かりなく手が込みすぎていて退きました。
そしてやってることエグいのに泣くな。
泣いたら許されると思ってるやろ。
わたしは許さないぞ。
しかも4年後には結婚して子どもまでいて、敬語だったのにふつうに話すようになっているのにも退きました。
4年の間にどんな展開があったのか知らんけどあまりにもちょっとそれはない。
しかも子どもが何歳か分からんけどおおきい。3歳くらいに見えてしまいました。
ということは…?展開早くない?
福山雅治も福山雅治ですよ。なんでやねんすぎる。
そら事実を知ったときグラス割るレベルで叫ぶわ。
わたしなら吐くかもしれない。
一方、もはや伊勢谷友介はいいやつに思えました。
結果的に離婚したけどしかたないと思います。
早苗は「薪野のため」とか言うけど、いや自分のためやんと思う。
何正当化してんの。
結局言うたのも自分が良心の呵責に耐えられなかったせいやん。
自分のためやん。
何正当化してんの。
てか良心の呵責ってなんやねん(あんたが言い出したんや)
泣くなら言うなら最初からやるな!
「幸せです」ってなんやねん気持ち悪い!!!!!!
よくあのメール送った後ノコノコと薪野の元に帰ってきたな、と思います。
腸が煮えくり返りすぎて途中から話が頭に入ってきておりません。
過去は未来によって変えられても、お互いに子どもがいる以上
「再会できて良かったね」
という話にはならんと思うのですよ……。
こういう女が勝つ世界、わたしには容認できん、できんよ…………。
結末の後、ふたりはどんな選択をしたのでしょうか。
テロというセンシティブな題材が扱われているにも関わらず、結局ひとりの女の細工により2人がすれ違ってしまうことに腸が煮えくり返っている自分自身に罪悪感を感じる映画でした………。
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2021.5.5 19:10追記
『マチネの終わりに』、なんとなく『冷静と情熱のあいだ』っぽい作品なのかな~と思いながら観始めた、ということを書こうとしてやっぱりやめたのだけれど、視聴履歴に基づくおすすめで『冷静と情熱のあいだ』が出てきた。
江國香織の方の原作の方だけ読んで、結末が当時高校生?くらいのわたしにはちょっと受け止めるには悲しくて、辻仁成の方は読めなかったなぁ。
映画は竹野内豊が主演なのか~。
映画もプライムで観られるようだしまた観てみようかな。
『冷静と情熱のあいだ』の結末は悲しかった、という記憶が深く刻まれているので、『マチネの終わりに』はそれよりはよかったかな、と思った。